そもそも看護師が離職すると、どれだけの社会損失があるのだろうか。看護師の離職による社会損失について、日看協の常任理事に尋ねると、「看護師の3割が免許をもちながら看護師として働かないで潜在化している実態があり、病院の採用・教育コストなどを考えると年間で480億円の損失となる。病院以外の診療所や准看護師なども含めると少なくても年間500〜600億円の損失に膨らむのではないか。また、新卒の看護師の離職に限っていえば、新人の9%が離職することから、1人当たりの看護師養成費用を300万円と仮定し、病院の採用・研修コストが年間1人当たり100万円とすれば、合計で約144億円の損失と考えられる」と話す。このほか、金額にできない社会損失も大きいことも見逃せない。小川氏は「看護師の離職が背景となって生じる医療事故、それによる訴訟や賠償費用はもちろん、看護師不足によって看護の質が低下すれば、患者に不利益となる」と指摘する。社会全体にとっても、働き方の改善で離職を食い止めることが急務の課題となることは明らかだ。それには、看護職のワークライフバランス(WLB)だけでなく、そのパートナーや若い夫婦を支える家族、社会全体のWLBの実現が必要となる。看護師の夫もまた、妻の就業継続を保持しようとすると、仕事か子育てか、あるいは正職員から非正規になるかという二者択一に迫られている。
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